ゲストハウス廃業の日

Pocket

最後のチェックアウト

午前10時過ぎ、いよいよ最後のゲストがチェックアウトします。不安と希望が入り交じる、複雑な気持ちで迎えたゲストハウス営業最終日でした。

You are the very last person who stayed with us. 

Thank you very much.

最後にチェックアウトしたのは、タイからの若い男性。英語が堪能で、いつも笑顔で礼儀正しい旅行者でした。

「ふぅ」

彼の背中を見送ったあと、私たちは夫婦は顔を合わせて一息つきました。この町に引っ越してきて7年。あっという間だったのか、一歩一歩歩んだ道だったのか、今はまだわかりません。

ただホッとする気持ちからの、一息でした。

ゼロから築き上げた自分たちの宿とお別れすることに寂しさはありましたが、ゲストハウスがなくなってしまう決断に後悔はありませんでした。

僕たちはそのまま言葉を交わすことなくフロントに戻り、これまでの7年間を振り返るためのビデオを撮り始めました。

「どうやった?」

2人はしばらく沈黙。

そして、同じ言葉で口を開きました。

・・・・・

「よかった。」

涙があふれ出しました。

寂しさからではなく、嬉しさからでもなく、悲しさからでもない、これまでに味わったことのない不思議な涙でした。

その涙で僕たちは確信しました。

「これで、よかったんや。」

・・・・・

時間が止まってしまうような、奇妙な感覚です。

ぼくは、2009年の寒い時期、二人で交わした言葉を思い出していました。

「ゲストハウス、やってみよか!」

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA